翼姫 ―closed summer closed sky―(講談社BOX)

2012年04月08日 22:14

翼姫 -closed summer closed sky- (講談社BOX)翼姫 -closed summer closed sky- (講談社BOX)
(2012/01/06)
天原 聖海

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久しぶりのBOX-AIR作品。 今回は「ファイナリスト/M」の天原氏による田舎ホラー。
民俗学研究会の調査旅行でやってきた田舎町で、主人公が遭遇した身も凍る怪異とは!?
翼姫 -closed summer closed sky-」(天原聖海著/講談社BOX
作品紹介

「あのな、俺もうここには来られない」―脚の故障でバスケ選手の道を断たれた堤裕司は、幼馴染の里穂に誘われ民俗学研究会の調査旅行に参加する。訪れたのは天津人(天女)伝説が残る静岡県中部の田舎町・比良賀町。町の伝統行事「羽焚き祭」に参加した夜、ひとり町へ出た裕司は片翼の天女・妃沙子に出会う。彼女は不思議な力で裕司の脚をもとどおりに治し、彼を喜ばせるが―。一行が町を去る朝、その事件は起こった。

☆ 田舎町に残る、天津人の伝説の恐るべき真実とは。

天原氏の「ファイナリスト/M」は、名探偵たちによる推理の饗宴というアイディアで楽しませてくれましたが、今回は趣向を変えてきましたね。 講談社BOX作品では、多分初めての正統派田舎ホラー。
田舎ホラーというと、海外ではトマス・トライオン「悪魔の収穫祭」などの作品、国内にも奇怪な因習が残る村を舞台としたホラー&ミステリーの良作が数多くありますが、本作はかなり王道に忠実な作りになってます。
・・・なんですが、スティーヴン・キングやクーンツ作品などのモダンホラー作品を数多く読んできた自分の目からすると、キングやクーンツ作品のテイストをかなり薄味にして、ファンタジー&ラノベっぽくしてみました、という印象しか受けないな~。
表紙に「最恐」って謳ってますが、垢にまみれた題材で新味が無いんで、正直そこまで恐くない。 あと町おこしのキャラクターの「あまちー」なるものが出てきますが、作品の雰囲気をからすると、かなり浮いているような気が。
確かに田舎町の住人の非人間的な風習には、「怪異よりも人間の方が恐い」って感じでモダンホラーお決まりの恐さがあるけど、作品自体は主人公と妃沙子との触れ合いを描いたファンタジーといったところ。 妃沙子のキャラクターが良いだけに、なぜこっちをもっと膨らませなかったのか謎。
前から言ってることだけど、BOX-AIR作品は基本的に短すぎるんですよね。 今回もそのせいでもっと膨らませて描けるところを、全体的に薄味にしてしまっている節があります。
バスケ選手の夢を断たれた主人公が、妃沙子と出会ったことでもう一度バスケ選手の夢と向き合えるかもしれないと考える辺りはいい展開だと思ったけど、幼馴染の里穂との関係が話が進むに連れて希薄になっていったのが、ちょっと残念。 どう考えてもこの部分は本筋のストーリーに絡ませたりと、もっと膨らませられたはず。

なんか、BOX-AIR作品は題材とか設定とかはいいのに、長さが短すぎるせいでいろいろ損をしている作品が多い気がするぞ。神世希さんの「DEUSLAYER」とかも、もっと長かったら面白くなったはずだよなって、今でも思うのだけど。 もちろん「嘘月」とか面白いのはあるんだけど、看板作品になるような作品が無いんですよね・・・。 この辺編集部はどう考えているのか・・・。

☆ 正直なところ田舎ホラーは・・・。

正直なところ、田舎ホラーってよっぽど革新的なアイディアや、筆致が上手くない限り、食指が動かないんだよな・・・。
海外のモダンホラーでその手の設定をよく見かけたので、もうお腹いっぱいって感じ。
日本の作品にもそういうのあるけど、今時そんなヘンテコな風習や伝説が残ってる町なんて、横溝正史の「金田一」シリーズじゃあるまいし、現実には存在しないのがバレバレだから、作品にのめり込めない。
同じ田舎を舞台にしたホラーでも、クーンツの「ファントム」や、マキャモンの「スティンガー」やらSFっぽいのならまだ可能性があるような気がするけど、難しいよな~この設定は。

総評

実は次回もBOX-AIR作品。 ちょっと不安です。
BOX作品は長ければ長いほど、持ち味が出てくる気がするんだけど・・・。

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