時間のおとしもの(メディアワークス文庫)

2012年02月25日 15:53

時間のおとしもの (メディアワークス文庫)時間のおとしもの (メディアワークス文庫)
(2012/01/25)
入間 人間

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『昨日は彼女も~』『明日も彼女は~』で、新たな領域を開拓した入間先生による、すこしふしぎ(SF)な短編集。
最近MW文庫の入間作品のクオリティが上がりまくってて、個人的には大変嬉しいです!!
時間のおとしもの」(入間人間著/メディアワークス文庫
作品紹介

『携帯電波』―少女が台所で偶然見つけた携帯電話。耳を傾けた向こう側には、もう一人の自分がいて…。『未来を待った男』―この時代にタイムトラベラーを呼び寄せる。それが男の目標だった。『やり直したいことがある』のだという。そして、ついにその時が訪れる。『ベストオーダー』―四人の俺が、同じ場所に現れた。自分自身が複数いるこの状況を前に、俺達四人はしばし考えた後、全員で共謀し、『完全犯罪』を企てる。ほか、書き下ろし短編『時間のおとしもの』を含む、時間に囚われた人間たちの、淡く切ない短編集。

☆ 時間に囚われた人たちの、すこしふしぎな作品集!!

入間作品としては初めてこのブログでSランクをつけた『昨日は彼女も恋してた』『明日も彼女は恋をする』は、非常に仕掛けに満ちた時間SFで我々を驚愕させてくれましたが、今回は同じく時間をテーマにした姉妹編のような短編集です。
はっきり言ってしまうと、入間流『世にも奇妙な物語』です。
短編とはいえ仕掛けに満ちた作品もあり、癒される話もありとバラエティ豊かなので、一般向けにもオススメですぞ。
それではそれぞれのエピソードの感想を。

携帯電波
少女が台所で偶然見つけた携帯電話。 突然かかってきた電話の主は『もう一人のわたし』だといい――。
何かが変わった。そして少女は父親が帰ってきたことに気が付いた。 この世にいないはずの父親が――。
不思議な携帯電話によって、パラレルワールドを行き来する少女の話。
本当に『世にも奇妙な物語』でドラマ化しそうな話です(笑)。
途中で「みーまー」っぽくなったりしてちょっと嬉しい。 そしてラストに待っている冒頭と繋がる真相に背筋がヒヤリとします。

未来を待った男
この時代にタイムトラベラーを呼び寄せると豪語する男・瀬川。 変わり者の彼だったが、大学の仲間の左門は月日が経っても彼のことが気になっていた――。 そして左門はある発明をする――。
ちょっとだけ仕掛けのあるSFラブストーリー。 おばあさんとか年寄りが元気なのが入間流。
仕掛けに関しては、勘がよければすぐ分かる。 しかしこういうの書かせると上手いな~入間先生は。

ベストオーダー
寂れたバッティングセンターでバットを振る相葉。 そこで彼は『俺』に出会う。しかも3人。
同じ顔をした人間が4人いることに驚く彼らだったが、これを利用して同じアパートに住む女から金を盗むことを思いつく。 完璧なアリバイを作れることを利用して。 そして計画は実行に移されたが――。
トリッキーさでは、本作品中一番の作品。 パラレルワールドSF+「レザボア・ドッグス」風の犯罪映画のミニミニ版といった趣。
この手の作品のお決まりで、予定外の出来事で犯行がバレてしまうのですが、ここで『探偵花咲太郎は閃かない』の花咲さんが、まさかのカメオ出演。 嬉しいサプライズでした。

時間のおとしもの
表題作にして書き下ろし作品。 都会の電車の中で揉まれる主人公。 彼の頭の中には中学生の時の『彼女』の記憶があった――。 ちょっと切ない話。 でも元気になれるかもしれない、そんな話。

☆ 入間先生の読書傾向。

あとがきによると、入間先生の好きな短編集は、乙一さんの「失はれた物語」だそうな。 あ~、わかりますね。
以前、上遠野浩平と伊坂幸太郎に影響を受けたとか言ってたし、作中に貴志祐介さんの「クリムゾンの迷宮」が出てきたり、歌野正午さんの「密室殺人ゲーム」からタイトルのインスピレーションを受けたとか語ってる辺り、異色作家短編っぽいのと、本格ミステリー&モダンホラー(とくにゲーム性が高い奴)が好きなんだろうな~と推測してみる。
正直自分と大して読書傾向が変わらないんで、親近感を覚えたぜ。

総評

短編集としては、非常にレベル高し。 ただ出来にばらつきがあるんで、もうちょっとでSランクかも感じでした。
MW文庫の次回作も短編集みたいですね。「片目と失恋(仮)」だそうな。
期待してます、入間先生!!

明日も彼女は恋をする 感想
昨日は彼女も恋してた 感想



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