ネメシスの虐笑S(講談社BOX)

2011年09月11日 13:55

ネメシスの虐笑S (講談社BOX)ネメシスの虐笑S (講談社BOX)
(2011/08/02)
小森 健太朗、早真 さとる 他

商品詳細を見る

PCノベルゲームと美少女ミステリ作品が同梱されて発売という、前代未聞の試みに惹かれて購入。
日本推理作家協会賞受賞作家が放つ、その内容とは。
ネメシスの虐笑S」(小森健太朗著/講談社BOX
作品紹介

美少女ゲームのシナリオライターになることを目指す高校生・児玉タクヤ。ある日萌え同人誌を廊下にぶちまけたのをきっかけに、幼なじみの逢瀬菜名穂の所属する順樢高校漫画部に入ることに。現代美少女ゲームの戒律から大逆事件の真相までを紐解く―小説版「ネメシスの虐笑S」。数年後、大学生になり美少女ゲーム作成に勤しむ児玉の前に、惨殺された美少女たちのイラストが送りつけられる。その画風から、犯人は高校時代に憧れた幻の絵師と思われ…!?交錯する過去と現在が導くのは、たった一人の少女へのルート―ゲーム版「ネメシスの虐笑G」。ミステリ小説とPCゲームを同梱した、稀代のエンタメBOX登場。

☆ 高校生編の“S”、大学生編の“G”。どっちから見る?

この作品は、主人公・児玉タクヤが高校の漫画部に入部したことで“日常の謎”を解決していく小説パート「ネメシスの虐笑S」と、卒業して美少女ゲームクリエイターとして生活していたタクヤの元に、自身の制作しているゲームの美少女キャラの惨殺された姿のイラストが送られてきたことで、ゲーム制作を邪魔する謎の人物に付け狙われることになるPCノベルゲームパート「ネメシスの虐笑G」の2作品が同梱されています。 ちなみに作者によれば、どちらを先に見ても問題はないとのこと。

・・・ということで、どちらも読み終わったわけだけど・・・、う~ん正直イマイチという感想しかない。
美少女ミステリとPCノベルゲームが同梱、という宣伝文句に騙されてしまったな~。
小説版の「ネメシスの虐笑S」の方は、先ほども書いたように、どっちかというと日常の謎を解決していく連作短編集といった色合い。 なのだけど、正直ミステリーの部分が弱い気がする。
マンションに入った物盗りは、どうやって監視員の目を盗んだのか?「トロツキーのパラドックス
インドの客人は、「鳥の家」というメッセージを受けて、予定と違う場所に!?「鳥の家
漫画部の予算の特別枠を狙って、タクヤたちは暗号にチャレンジすることに。「暗号鍵・水たまり
1年生の女子が、新聞への写真掲載を取りやめて欲しいと頼んできた。だが・・・。「キルケゴールの魔
女子トイレで隠しカメラを発見した菜名穂。 ただちに犯人を捜そうと先生に協力を申し出るが・・・「隠しカメラと封筒
海水浴に向かう列車の中で、人間観察ゲームをするタクヤ達。 奇妙な出来事の真相とは。「ボックス席の四人
海水浴場にある『水着メイド喫茶』で起きた盗難事件の犯人を捜す「海水浴場の出来事
ここまでは、まだミステリーの体裁をとっているので、楽しめないことはないんだけど、どうにもキャラクターの言動やら、行動に疑問符がくっつくことしばしば。 犯人があっさり犯行を認めすぎじゃないの?
それに思うのだけど、漫画部という設定が、ほとんどと言って良いほど生きてない。 漫画部という設定ならコミケに行って事件が起こる話とか見たかったよ(と、思っていたら、小森氏の作品に「コミケ殺人事件」ってのがあった(笑))。
ほかにも、1話丸まる美少女ゲームの戒律を「ヴァン・ダインの二十則」になぞらえて作っていく「美少女ゲームの戒律
ニーチェとその妹の関係を描いた本『妹と私』をネタ参考にする「妹と私
衿橋とタクヤが神智学オタク会話を展開する「幸徳秋水と神智学、大逆事件と世界教師
といったラインナップなんだけど、う~ん、なんかバランス悪くね?
「美少女ゲームの戒律」はこういうゲームやりまくった人なら、ニヤニヤ出来ること間違いなけど、なんか評論を読まされた気分。
こういう話があった後に、ニーチェと幸徳秋水のマニアックな話だから、どうしてもバランスが悪いような気がしてしまう。 漫画部の本分はどこへ行った。
それぞれの話で、これといった伏線もなく、大した感慨もないままエピローグへ突入。当然大した感動もなく終わってしまった・・・。

そしてPCノベルゲーム版の「ネメシスの虐笑G」。
正直言って話としては、コチラの方がサスペンスしてるけど、やっぱりひっかかりを覚える展開。
現在と過去を交互に描写するのはいいんだけど、一部“S”の話とかぶってしまったのが残念。
そこかしこにネタというか、いろんな作品名が出てくるんだけど、どうも全て上滑りしているような。(というかガンダムだけやたら知ってるな)
謎の人物からゲーム制作について妨害を受けるわけだけど、その犯人の正体が激しく期待はずれだったのも評価を下げる一因。というか、犯人は作品の最初から作品に出ていなくてはいけないって、「美少女ゲームの戒律」で言ってなかったっけ?
そしてノベルゲームらしく、ヒロインごとにエンディングがあるのだけど、これも必要だったのか。
事件の真相に絡んでくるわけでもなんでもないし、このクオリティなら、正直無い方がいいくらい。
その分、小説の方に力を注いでほしかった。

作者の小森健太朗氏、プロフィール見てみたらそもそもデビュー作が評論部門での受賞だった・・・。
それで、なんか腑に落ちた気がします。要はこの作品、良くも悪くも「評論家が書いた小説」なんですよ。
それが悪いということではないけど、この程度の作品書くのだったら、評論書いてくれって言いたくもなる。
どうも評論が出来る人でも、自分の書いた作品に対しては評価が甘くなるものらしい。

☆ PCノベルゲームのおかげで・・・

それにしてもPCノベルゲーム、激しく同人臭がしました(笑)。
早真さとる氏のイラストを見てると、ますますそんな気がする。
それぞれのキャラのエンディングを見るために、繰り返しやったので、全て読み終わるまで3日もかかってしまった。小説は3時間ぐらいで読み終わったのに・・・。
その上、そんなに評価が高くないから、正直怒り出したいくらいのものですが、ミステリとPCノベルゲームの同梱発売という新鮮な体験をさせてくれたので、よかったと言えばよかったかも。

総評

それにしても講談社BOXは毎回そうだけど、ハズレを引いた時のガッカリ感が尋常じゃない(笑)。
その分、いいものはものすごく良いんですが。
講談社BOXのこの博打感覚なところが、好きでもあり、不安になるところでもあります。

にほんブログ村 小説ブログ ライトノベルへ
にほんブログ村
スポンサーサイト


コメント

  1. KAWAUSOTS | URL | -

    (´ω`)ノ こんにちは!!

    突然ですが相互リンクお願いしても良いですか?
    できればよろしくお願いしますm(。・ω・。)m

  2. naomatrix | URL | -

    Re: (´ω`)ノ こんにちは!!

    >KAWAUSOTSさん
    リンク追加しました!
    よろしくお願いします!

コメントの投稿

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://matrixblog.blog65.fc2.com/tb.php/719-17e69947
この記事へのトラックバック