Powers Selection [新走(アラバシリ)](講談社BOX)

2011年06月09日 11:51

Powers Selection [新走] (講談社BOX)Powers Selection [新走] (講談社BOX)
(2011/05/07)
こうもり傘

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今回は、PowersBOX初の短編集。
10人の作家による、競作を楽しんでください!!
Powers Selection [新走(アラバシリ)]」(講談社BOX編/講談社BOX
作品紹介

最果ての図書館に、その少女はあらわれた。彼女は感情を知らず、世界の成り立ちを知らず、そして自分が何者かを知らなかった―。「ぼく」と彼女の自我をめぐる優雅な問答『BBDB』(円居挽)。ほか、悪魔に抗って美少女ロボと同盟を結び、天使を殺害し娘を見守り、優しき親友にも低俗なる悪友にも別れを告げず、過去の罪に呑まれた結果狂気の隣人に乾杯する…そうしてあなたを酩酊させる、10の短編小説集。

☆ 10人の作家が描く、新しい小説世界!

いや~やっと読めましたよ!
今回は短編集、しかも10人の作家による競作とあって、BOX初心者にもオススメ。
講談社BOXですから、やっぱり尖がった作品が多いですね。

BBDB』(円居挽著)

最果ての図書館に「9月9日」という名の少女がやってきた。
“ぼく”ことDB(デイビイ)は彼女とちぐはぐな、だが知的な会話を繰り広げる―――。
なんとなく文脈から二人の正体はわかりますが、近未来的な雰囲気を楽しむ作品。
個人的には好きな作品。

ダンスモンキーの虚と実』(新沢克海著)

アリオは目の前の世界から目を背け、世界のあらゆる雑音に耳をふさいでいた。
そんなある日、幼馴染でペシミストの背美弓弦のいとこだという鯨辺凛という女の子に出会う。
アリオは徐々に彼女と話すようになるが・・・・。
『コロージョンの夏』『フェイブルの海』の新沢氏の作品。
鯨辺凛の正体が予想していた通りになって、あんまりショックじゃなかったな・・・。
この方は長編でもそうだけど、独特の言い回しのおかげで、トリックとか使ってもあんまりうまくいってない感じがしますね。

優作の優』(岩木裕明著)

僕の友人の「いい人」の沢優作。彼は子どもの時から異常なまでの「優しさ」を見せていた。
そんな彼を苛める奴もいたが、彼は相変わらずどんな要求にも「いいよ」と答え続けていた。
そして大学生になったある日、彼は付き合っている彼女とケンカして「死ね」と言われてしまい・・・。
ショックというならこっちの方がストレート。最後まで読んでゾクッとする話。
優作がこんなにも優しい理由が最後に分かって戦慄します。

フォーティユースボーイ』(小柳粒男著)

『プラグ』というものが普及している近未来。
医者に余命45年を宣告された僕は、娘の担任教師から娘の素行不良を直すように依頼を受ける。
だが彼の娘は、彼とは似ても似つかない天才少女だった・・・・。
娘の口の悪さと、主人公の親バカぶりを楽しむ一篇。

ガラパゴス・エフェクト』(針谷卓史著)

「教授」こと木曾君が小松原さんに告白して、二人は付き合うことになった。
このことが僕とガラパゴス君を巻き込んでドタバタ劇のきっかけに!?
小松原さんのドン引きする秘密とか、なかなか楽しい話。

うなさか』(杉山幌著)

ある虐待事件の被害者の兄と加害者の妹が、公園で話し合っている。
加害者の男が出所してきたことで、ある計画を実行することに。
これ本当に講談社BOXか?っていいたくなるようなシリアスな話。
たまにはこんな話もいいでしょう。

転転転校生生生』(森野樹著)

朝、主人公の僕は登校している最中、やたら女の子とぶつかる。
どうやらクラスメイトの綾小路さんがネットで転入生を募集したところ、情報が間違って伝わってしまい学校が転入生候補でいっぱいになってしまったらしい。その綾小路さんは今日、もうすぐ転校してしまうのだ。
彼女を慕う僕は、内田の力を借りて転入生候補がひしめく学校内に突入する事に。
果たして僕の思いはとどくのか?
『レッドアローズ』の森野氏による作品。ひねった話が多い中、こういう楽しい作品を読むとほっとします。
内田があからさまにおかしい喋りをしているのに、まったく気付いていない僕のトンチンカンぶりや、
ムチャクチャな設定を楽しみつつ、まったりする話。内田の最後の告白がちょっと感動。

アービアス』(ganzi著)

西暦2305年、どこかの納屋で目覚めた記憶を失った主人公。彼は羽の生えた少女・ミカナルに出会う。
そして彼女から「この世界に居る天使を全員殺してほしい」と頼まれる。
この世界に蔓延している瘴気は、天使のせいでもたらされたものらしい。
アービアスと名づけられた少年とミカナルの旅が始まる・・・。
何か大きな物語のプロローグ的な作品。この作品を膨らまして長編にしてほしい。

押入れで花嫁』(井上竜著)

ある木造アパート。下の部屋の住人の大声のクレームをなんとかするため、本人に面と向かって話し合うことにしたわたし。
しかし、出てきた男は早口で何を言ってるのかわからなくて・・・・。
全然反省した様子のない男を見て、わたしはこっそり男の部屋に潜入することに。
そこでわたしが見たものは―――。
これがデビュー作だという井上竜氏の作品ですが、この作品集中、私イチオシの作品。
男の正体といい、わたしの行動の理由といい、謎のカニの怪物が登場したりしますが、
ほとんど何の説明もなく進んでいきます。そのくせわたしの本筋とは関係ないと思われるペットフードやら、
母親との電話での会話なんかが同等に描かれていて、妙な作品世界。
ある種のナンセンスが漂っています。これはなかなか面白い才能ですよ!

木の葉にまわすフィルム』(円山まどか著)

真夜中の山の中を昇っていく兄妹。
あるものを埋めるためにやってきた兄の頭には、中学生の夏、妹と映画館へ行ったときの記憶が蘇る・・・。
『自殺者の森』の円山氏の作品。幻想ホラー?ともなんともいえない。これといってオチもないし。
果たしてこれは現実の出来事か?それとも兄の妄想なのか?

☆ 面白いけど・・・・

う~ん、読み終わって思ったのは「これは自信を持ってオススメ!」という作品はなかったってことかな~。
『押入れで花嫁』はなかなか面白いとは思いましたが、他人に勧められるかというとちょっと・・・。
みんななんか頭でっかちだな・・・というのは、講談社BOXだからしょうがないと思うべきなのでしょうか?

私としては、技巧に凝ったエンターテイメントとしての作品が読みたかったな~。

総評

やっぱり講談社BOXの作品は、長編でこそ魅力を発揮するのかも。
短編が悪いってわけじゃないけど、キレがないんだよな・・・・。
でも『押入れで花嫁』が読めるなら、買いかも。



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コメント

  1. つかボン | URL | v14okzU2

    『新走』読みましたか!
    いやー面白そうですねー。個人的にPowersには、講談社BOXにもないエンタメ性の欠如を求めているのでむしろ楽しみです。だれもが我が儘に自己を表現している主張過多な部分が好きなんです。
    それに『新走』は私の大好きなアンソロジーですしね!
    気になっている円居挽先生の『丸太町ルヴォワール』を堪能してから読もうと思ってるので、現在は積読中です。早く読みたいなー。

    ところで森野樹先生の『転転転校生生生』はこちらにも収録されてるんですね。
    Powersの来月刊行予定作品にも掲載されていたのですが、どういうことでしょう?

  2. naomatrix | URL | -

    Re: タイトルなし

    >つかボンさん
    確かにわがままに主張しているという点では、合格点ですよ。
    その主張が楽しめるものになってるかどうかは、また別問題ですが・・・。
    何かの機会で、またこういったアンソロジーが出てくれるといいな~。

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