キョウカンカク 美しき夜に(講談社文庫)

2013年07月16日 23:15


キョウカンカク 美しき夜に (講談社文庫)キョウカンカク 美しき夜に (講談社文庫)
(2013/07/12)
天祢 涼

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本当は講談社NOVELS版を読むはずだったのが、ちょうどいいタイミングで文庫が刊行。
音が見える“共感覚”を持つ探偵・音宮美夜の活躍を描く、
第43回メフィスト賞受賞作!

キョウカンカク 美しき夜に」(天祢涼著/講談社文庫
作品紹介

死体を燃やす殺人鬼・フレイムに妹を殺された天祢山紫郎は、音が見える探偵・音宮美夜と捜査に乗り出す。美夜は殺意の声を見てフレイムを特定するも、動機がわからない。一方、山紫郎は別の人物を疑い…。ホワイダニット(動機のミステリ)の新たな金字塔が登場!第43回メフィスト賞受賞作を全面改稿。

☆ 謎の殺人鬼・フレイムVS音が見える探偵・音宮美夜。

またしてもメフィスト賞作品。 第43回ということで、望月守宮氏の『無貌伝』とほぼ同時期の作品ですね。
『無貌伝』はミステリー×ファンタジーというハイブリッド作品、ということで本格ミステリが多いメフィスト賞の中では結構変り種だと思うのですが、今回の『キョウカンカク』も割と特殊な設定を持つ本格ミステリ。
なんといっても銀色の長髪、そして音が見えるという探偵・音宮美夜のキャラクターが素晴らしい。
銀色の髪、絶世の美女、そして能力持ちと、いかにもライトノベル、漫画的なキャラクター。 この美夜の能力ですが、要するに人の話している声に色が付いて見えるようになる能力。 たとえば死にたがっている人間の声は青、人を殺したがっている人間の声は赤という風に見え、この能力を使って美夜は、フレイムに妹を殺された男・天弥山紫郎と共に、謎の殺人鬼を追っていきます。
読み進めながら、だんだんと美夜が探偵として万能というわけではないことが徐々に分かってくるのが良かったです。 なんてったって、とある人物の声が人を殺したがってる赤色だったから、という理由でフレイムだと決め付けて捜査してしまうという無理やりな人物。さすがにその論理には客観的にみて穴だらけですが、ちゃんと論理的に本格ミステリしているのでご安心を。
中盤、フレイムの疑いをかけられた人物を監視下に置いた状態で、犯行がなされるトリックが素晴らしい。
もちろん疑われてる人物は監視下にいたわけで犯行は不可能。 しかし手口からみるにフレイムの犯行には間違いない…。 さて真相は。
美夜と山紫郎の軽妙なやり取り、ちょっとカッコいい名前(?)の殺人鬼・フレイム、その他の個性的なキャラクターといい、良くできたライトノベルを読んでいるような感覚になりました。

☆ 殺人鬼・フレイムの驚愕の“動機”。

ストーリー、キャラクター、ミステリーとしての謎解き。 そのどれもが驚きなんですが、この作品において一番の驚きはなんといってもフレイムの動機。 今まで割りとサイコキラーものは読んできたはずですが、こんなトンデモな動機の殺人鬼はお目にかかったことがないですね。 まあサイコキラーの動機なんてどれもトンデモな気はしますが、このフレイムはその中でも極めつけ。 しかしこの動機って、読者が怒るんじゃないのかって思わなくもない。

総評

毎回メフィスト賞作品には『S』ランク付けちゃうんですが、ちょっと個人的に犯人当ての部分で頑張ってほしかったので、『A』+ぐらいにしておきたいと思います。
全体的にフーダニット(犯人当て)としては若干弱めですが、ホワイダニット(動機当て)としてはかなり面白いのではないでしょうか?

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