無貌伝 ~人形姫(ガラテア)の産声~(講談社NOVELS)

2013年07月07日 22:44


無貌伝 ~人形姫の産声~ (講談社ノベルス)無貌伝 ~人形姫の産声~ (講談社ノベルス)
(2010/12/07)
望月 守宮

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私の中でヒットしているメフィスト賞受賞作「無貌伝」シリーズ第3弾!
今回は若き日の秋津の物語。 付き合っていた遥に「人形をみせてあげる」と言われた彼は、彼女の実家がある島へと連れられるが…。
無貌伝 ~人形姫の産声~」(望月守宮著/講談社NOVELS
作品紹介

これは在りし日の名探偵と生まれいずる怪人の物語―。「人形を見せてあげる」遥はそう言って、怪異が集まる島に秋津を誘った。そこに住むのは、幼き彼女の姿をした人形と、男たち。遥の失踪。消えた一日の記憶。破られた封印…。命の灯が一つ消えるたび、一体の人形が動き出す。孤島に秘められた悲愴な真実に秋津はたどりつけるのか。

☆ 若き日の秋津。遥の過酷な運命。 ある愛の物語。

無貌伝」シリーズ第3弾。 前回も書きましたけど、私の中では西尾先生の「戯言」シリーズよりも評価が高いこのシリーズ(比べる必要もないかもしれないですが…)。
断言します。 本作を含め、今まで読んだ3冊の中で一番好きです。そのぐらい今回の「人形姫の産声」は素晴らしい。
今回の舞台はあらすじにも書いてあるとおり、秋津の恋人(?)遥の実家である島。 ここは数々の「ヒトデナシ」を封印している地であり、遥は封印する力を秘めた一族の人間らしい。 この島の屋敷で、秋津を含む遥と関わりのある人物達が集められ、謎の殺人事件が発生するという話。
面白いのは、単なる殺人事件ではなく、「一初瀬」という刃物の形をしたヒトデナシを使用することで、刺した相手の命を、無機物である人形に移し、人形に命を与えることが出来るということ。 秋津を除く登場人物たちは、皆過去に遥と関わりを持ったことがある人たちで、それぞれ関わっていた頃の遥に似せた人形を所持しているんですが、人が死ぬたびに遥に似せた人形が一体ずつ意志を持って動き出すのは、このシリーズならではの趣向。(しかも動き出す人形がそれぞれちょっとずつ性格が違うのがGOOD)

一応タイトル通り、今回も無貌は出てくるんですが、あくまでサブキャラというか、事件に関してはあんまり関わってこないんですね…。 それと今回で顔奪われる展開にならなかったのは意外でした。

全体的な印象として、遥と秋津の話という印象が強かったですね。 特に遥に関しては5体の人形のせいもあって、かなり掘り下げ方が深かったです。 遥の過酷な運命、トラウマ、外界になじめない苦しみ、その全てが丁寧に描かれていて、それがクライマックスでのカタルシスに大きく繋がっています。
あと第2部「人形姫の断末」のパートがいいミスリードになっていて(上手いこと騙されましたね)、ミステリー的なトリックにもちゃんと気を使っているのが素晴らしい。

☆ 遥を絶望から解き放てるのか?

まあ、いろいろ堅苦しく語ってはみましたが、この作品の全ては、最後の絶望しかけた遥の前に現れた秋津のシーンに集約されている気がします。 このシーンが本当に素晴らしい!!
絶望に打ちひしがれているヒロインを主人公が救うなんて、まさしく王道じゃないですか!

まさしくライトノベル的展開ですが、そこにちゃんとミステリー的な味付け&ファンタジーで補強してあるのが、このシリーズの魅力。 そのことを本作で再確認しました。
う~ん、今までも非常にクオリティが高かったこのシリーズですが、本作で「好き」が「大好き」になりました。

総評

現在刊行されているシリーズはあと2冊。次の刊行で最終巻みたいなんで、なんとか出るまでには読みたいですね。
なんにしても、シリーズ中、ぶっちぎりでおすすめです!

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