ハサミ男(講談社文庫)

2013年04月17日 23:09


ハサミ男 (講談社文庫)ハサミ男 (講談社文庫)
(2002/08/09)
殊能 将之

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最近レビューが続いているメフィスト賞作品ですが、これを紹介しないとダメですよね。
第13回メフィスト賞受賞作品にして、日本産サイコサスペンスの大傑作。
そして殊能将之氏追悼の意味も込めてのレビューです。

ハサミ男」(殊能将之著/講談社文庫
作品紹介

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作。

☆ 模倣犯を追う猟奇殺人犯・ハサミ男。 サイコサスペンスのマスターピース!

ここ最近、というか今年に入ってメフィスト賞作品のレビューが続いているので、いつかはこの作品のレビューを載せるつもりではいましたが、なんだかんだでズルズルと今に至っていました。
が、ついこの間、著者の殊能将之氏が、今年2013年の2月11日に亡くなっていたというニュースを聞き、ここでしなきゃいつするんだと思い、急遽紹介した次第。

数あるメフィスト賞作品の中でも、割と有名な作品である「ハサミ男」。 というかメフィスト賞の知名度向上に、ものすごく貢献しているのではないでしょうか。 「無貌伝」「クビキリサイクル」「煙か土か食い物」「フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人」「天帝のはしたなき果実」「パラダイス・クローズド」とこのブログで紹介したメフィスト賞作品は、普通のミステリに飽きた人やラノベ好きには自身を持って薦めるんですが、一般の人にはちょっと敷居が高いですよね。
しかしこの「ハサミ男」はメフィスト賞の先鋭さを持ち合わせつつも、上記の作品のような人を選ぶ要素皆無の超ストレートなサイコサスペンス(ってなんだそりゃ)なので、何か良いミステリーは無いかと探している人にこそ読んで欲しいです。

内容について語ろうとすると、どうしても後半の大どんでん返しに話が行きがちですが、そこ以外にも読みどころはたくさん。
まず単純にハサミ男が模倣犯を追う、という設定からして秀逸。 探偵役は殺人鬼、というのがいかにも曲者ぞろいのメフィスト賞作品っぽい。

☆ ハサミ男、そして模倣犯の驚愕の正体。

この作品を読み終わったあとで、もう一度伏線を確認するために読み返してみたんですが、いやホント見事ですよ、ヒントの散りばめ方が。
ハサミ男の正体に関しては、他人と会話しているシーンでちょこちょこヒントが出てきてはいるんですが、まさか正体が○○だったなんて…。 ハサミ男が模倣犯による被害者を発見するシーンを、オチを知った上で読み返してみると、叙述の巧みさが際立ってます。これはさすがとしか言いようがないです。
模倣犯の正体に関しても、ハサミ男のパートとは違い、推理によって正体が判明するため、叙述のトリックだけに頼ってない所が好感触。 この辺がこの作品を傑作たらしめているのでしょう。 ハサミ男の正体がわかるトリックだけではたぶん普通のサイコサスペンスとして埋もれていたでしょう。

それにしても殊能氏死去のニュースを知ったのが、ブックオフで「美濃牛」を見つけて購入した日というのがね…。
なんの因果か…って読書メーターに登録する際に知ったってだけなんですけど。

総評

殊能氏の作品は「子どもの王様」以外は全て文庫されており、手軽に読むことが出来ます。
ただ「ハサミ男」以外は、現在書店ではなかなか見つからない可能性がありますのでご注意。
殊能氏のご冥福をお祈りいたします。



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