作品紹介 西尾氏、イチ押し。――清涼院流水
絶海の孤島に隠れ棲む財閥令嬢が“科学・絵画・料理・占術・工学”、5人の「天才」女性を招待した瞬間、“孤島×密室×首なし死体”の連鎖がスタートする!
工学の天才美少女、「青色サヴァン」こと玖渚友(くなぎさとも)(♀)とその冴えない友人、「戯言遣い(ざれごとづかい)」」いーちゃん(♂)は、「天才」の凶行を“証明終了(QED)”できるのか?
新青春エンタの傑作、ここに誕生!第23回メフィスト賞受賞作。
理不尽な《首斬り》の横行する馘首(リストラ)時代。絶海の孤島に集められた世界的VIPの天才レディ×5と、お供達(フレンズ)。貴婦人の《首斬り》殺人が連続する。そのサイクルは?オーソドックスな本格ミステリのようで、様式美(パターン)を信仰して疑わない作家ロボットにはゼッタイ創れない物語。とっくに新時代は始まっている、と、今更ながら確信。新世紀のイメージ維新志士が、メフィスト賞から最前線に出陣。いーちゃん、いいじゃん。西尾氏、イチ押し。―――(清涼院流水)
☆ 天才が集まる孤島で起きた密室連続殺人の謎を、いーちゃんは解けるのか!?読んだ、読んだよ。 西尾先生のデビュー作。
西尾作品はほぼ「化物語」ぐらいしか知らない私は、『戯言』シリーズは名前だけ知っている状態でした。
「このラノ」でもちょこちょこ名前が出てきていたし、いつか読みたいなと思ってましたが、このたび手にとって見た次第。
で感想だけど、「化物語」しか読んでない私からすると、
「え? これ同じ人が書いたの?」っていうぐらい面白かった。別に「化物語」が面白くない訳じゃないけど、物語としての密度は、明らかにこっちの方が上。
ていうか、普通にミステリーとしてスゲー!!「化物語」のノリしか知らないと結構忘れがちですが、西尾先生ってメフィスト賞作家だったんだな(笑)。孤島に隠れ住む財閥令嬢・赤神イリアの元に集まった、いろんな分野の“天才”女性たち。
天才技術屋・玖渚友の付添い人のいーちゃんは、玖渚をはじめとした天才女性たちに振り回されていた。
そんな中起きた密室殺人。 なぜか警察に通報しない赤神イリアは、これからやってくるという“人類最強の請負人”哀川潤が事件を解決してくれることを待ち望んでいた・・・。 いーちゃんと玖渚は独自に捜査を開始する!!
男の主人公に対して女子率がすごく多いこと、 キャラクターが無駄にチートな所、いーちゃんの一人語りという点では、「化物語」と共通していますが、「化」と比べると無駄話は圧倒的に少ないし、何より事件発生→操作→推理披露・意外な結末という本格ミステリの枠組みがしっかり守られているのがちょっと意外だった。 ここまで無駄話の少ない西尾作品は逆に新鮮。
なにより終盤に披露されるいーちゃんの推理が凄い。 密室トリック自体も凄いけど、犯人を騙すストーリーの見せ方がうまいのでビックリしました。
読む前はカバーイラストの印象が強くて、キャラクターが無駄にエキセントリックなのか思ってましたが、実際読んでみると思ってたほどアクが強くなくて、ストーリーが進むにつれて、キャラクターのエキセントリックさが立ち昇ってくるという仕組み。
どんでん返しも申し分なくて、さすがメフィスト賞受賞しただけのことはあるなと思いました。
西尾先生のこと、ちょっとだけ見直したわ。
☆ キャラクターの立ちっぷりは、やっぱりラノベ。やっぱりさ、西尾作品のキャラの立ちっぷりは、「化物語」もそうだけどさすがだな。
ミステリーとしての土台が強固にできている上で、キャラクターが魅力的だったら最強じゃないですか。
読み終わると、最初にあるニーチェの言葉「才能が一つ多い方が、才能が一つ少ないよりも危険である」という言葉が効いてきますね・・・。 結局、この作品に出てくる天才達は、天才であることで必ずしも幸せになってないということがわかってきます。
評価はラノベとしても、ミステリーとしても十分に堪能しましたので、文句なしのSランク!!読んでよかった!!
総評西尾先生がメフィスト賞作家だということを思いださせてくれる『戯言』シリーズ(笑)。
続きも買うぞ!!
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