
先週ですがデレ5thSSA公演のついでで、『スパイダーマン ホームカミング』鑑賞してきました。
実を言うと今までスパイダーマンの映画、サム・ライミ版とマーク・ウェブ版(アメイジングスパイダーマン)計5作ちゃんと見たこと無くて、予告編やテレビでちょっとやってるのを軽く見たぐらいの記憶しかないんですが、いや~面白かったです。
マーベル映画って基本的にクオリティは総じて高いんですが、スパイダーマンは過去5作品あるし、結構ハードルが高いはずなんですが、ああ、こうきたかというシーンの連続でした。
まずもう予告編から見て分かるんですが、今回のスパイダーマンの舞台、ニューヨークのちょっと郊外の住宅街がメインなんですよね。 今までのシリーズはビル街のど真ん中でのシーンが多かったので、差別化という意味でも素晴らしいし、何より地域密着感というか“ご近所ヒーロー”感が凄く強調されてるのが印象的でした。 そしてそれを活かしたギャグ(スパイダーウェブを引っ掛ける高い建物が無くて走るしかない)もしっかり入っていて終始笑ってしまいました。
笑いといえば今回ピーターの友人として出て来るネッドのシーンがどれも笑ってしまうんですよね。 というかネッドのあのボンクラの塊みたいな風貌はとにかく最高でした。
トニー・スタークがこの作品では父親代わりとして機能しているんですが、ピーターが終始トニーに認めてもらおうと奮闘する辺りは普通に青春映画として良く出来てると思いました。 トム・ホランドが背が低くてよく喋るので、見た目以上に幼く見えるんでしょね。
あと作品内で誰も死んでないのが地味にポイント高し。 誰か死んじゃうとちょっと重い話になっちゃいますしね、ご近所ヒーローなのに。 敵のバルチャーも救出する流れになるのは、過去5作品ではちょっとなかった展開なのではないでしょうか。
というわけで、個人的にはマーベル映画の中でもかなり上位に来る出来の作品だと思います。
そして昨日ですが『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』鑑賞してきました。なんか久しぶりに新房昭之☓シャフトの作品を見た気がするんですが(最近シャフト作品ご無沙汰なんです…)、脚本が映画監督として『モテキ』『バクマン。(実写版)』の大根仁氏、そして『君の名は。』のプロデューサーである川村元気氏が組んで映画となれば注目するなという方が無理でしょう。
で、実際見てみた感想なんですが、良いところもあるんですが、思っていたよりも下回ってきたな~っていうのが正直なところ。
少なくともこれを『君の名は。』の次として全国300館で公開するプロデューサーはちょっと無謀なんじゃないか。まず良いところはヒロイン・なずなをとにかく可愛く見せようという気合は確かに画面から伝わってくること。
キャラデザが物語シリーズの渡辺氏なのでそのへんはもうさすがとしか言い様がないんですが、そこにシャフト作品ではおなじみの凝った&フェチズムに溢れたアングルで見せられるので、それだけでも見る価値はあると思います。
個人的は主人公よりもなずなの方が背が高いというのがポイント。
でも良かったのはその辺ぐらいで、あとはちょっとツッコみどころが多すぎるんですよね、この映画。
そりゃ『君の名は。』だってツッコミどころ大量にありましたけど、この『打ち上げ花火~』と比べたら可愛いものですよ。
いわゆるタイムループもの、いや“
セーブポイントまで戻ってやり直し”ものって言ったほうがこの作品には合ってる気がする。
両親に無理やり連れて行かれそうになるなずなを救出する→失敗→謎の石でもう一度→今度は上手くいくという、
とにかく主人公のご都合主義的に話が進むのは今どき珍しくもないんでまだいいとしても、
最終的に改変する前の、元の世界に戻ろうとする動機が凄く納得しづらいんですよ。 もっというと改変されたあとの世界のままだと具体的に何がどうマズイのか描かれてないから、このままでいいじゃんって気がするんですよ。
確かに改変したあとの世界で、花火が平らになったり、空に文様が出たりして世界が変わったというのが分かるんですが、それによってどういう悪影響が出ているのかがさっぱりわからない。 これ同じく新房監督だったら『まどマギ』はほむらがまどかを救いたいために時間を繰り返すたびに事態がどんどん悪化していく過程がしっかり描かれてたじゃないですか。 世界の変化に対して、なずなと典道以外の戸惑っている反応とか混乱を描いていればまだ話はわかるんですが、
そういう悪影響の部分を全くすっ飛ばしたまま、このままではいけないとかいう話になっていくので、どうにも説得力がない話になっちゃってますね。
そしてもう一つ根本的な話ですが、『君の名は。』風の美しい背景描写・田舎の描写と、新房監督の非常にケレン味溢れる演出がどう考えても歯車が噛み合ってない。 物語シリーズと比べるとかなり抑えめにはなっていますが、電車内でのなずなの心象世界のシーン、CGのクオリティの低さもあって、完全に他のシーンから浮いてるんですよね。 物語的な必然性も全然ないし。
CGのクオリティっていうと、人物周りが全体的にショボかったな…。 冒頭の典道たちの登校シーン、今時あそこまでCG感バリバリの自転車シーンて逆に珍しい気がする。
これ物語シリーズだったら、ああ、こういう演出なのねって納得もできるけど、この映画に関しては奇をてらった演出をすればすれほどマイナスになってく気がする。
最後にほんと気の毒だったのが、主人公・典道の友人の祐介の扱い。
前半でなんか意味ありげに主人公と喧嘩するシーンがあったりなんかして、ああこれが後で伏線で効いてくるのね、と思っていたら、なんとビックリ、映画後半ではそういった伏線を回収されることもないまま、いつの間にか他の3人と同じ“その他大勢”になってて感動とは違う意味で涙が出てきてしまったよ。
意味ありげに出てきて、物語上の意味も何もないまま、モブキャラとして終わるって、こんな可哀想なキャラ近年見たことないよ!
友人たちもさ、ドラマ版が小学生だったのを中学生に変更したせいで、
花火が丸いか平べったいかの話が、小学生の微笑ましい勘違いから、ものすごく頭の悪い男子中学生のダベリ話になってるし、とにかく主人公の友人たちが頭悪い連中なんだというのはスゲー伝わってきた。
声優陣も広瀬すずはいいとして、菅田君がな…。 特に上ずった声を出してるときが不自然になっちゃうんですよ。
渡辺明夫氏のキャラとフェチズム溢れるアングルで楽しめるとは思いますが、そうではない人には何も残らない映画のような気がします…。
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